鬼の日
節分なので鬼の絵を描いてみました。
鬼と言うと「泣いた赤鬼」を思い出します。
そう言えば、「べっかんこ鬼」と言う話もありました。
「泣いた赤鬼」は、藤城清治さんの朗読がとても印象的でよく覚えています。
藤城清治さんの劇団ジュヌパントルの影絵劇の作品として「泣いた赤鬼」があり、昔照明サポートという形でお手伝いしたことがあります。
その「泣いた赤鬼」の朗読は藤代さんでした。
若いときの録音でしたが、(若いといってもいつだろう?)とても素朴で、心に沁みてくる朗読でした。
藤代さんは学生時代「泣いた赤鬼」の作者である浜田さんとは同級生だったそうで、彼からこの物語を聞いてこれはいいから世に出した方がいいといったアドバイスをしたというようなことをおっしゃっていたのを覚えています。
「泣いた赤鬼」の赤鬼と青鬼との友情はとても心に響くものです。
青鬼くんのおかげで村人と仲良くなった赤鬼くんが、遊びにこなくなった青鬼くんを訪ねて、山百合の白い花の咲く山奥の青鬼くんの家を訪ねるとそこに、
赤鬼くんにあてた手紙があります。その手紙には、赤鬼くんが村人といつまでも仲良くくらしていけるように旅にでることが書いてあります。
藤代さんの影絵では、この手紙を赤鬼くんが読んでいると影絵のスクリーンに手紙が出てきて、その手紙に涙が落ちてにじむというつくりになっていました。
写し出した字の上にスポイトで水滴を落とすのです。
ぽつり、ぽつりと字に涙がおち、にじんでいきます。
藤代さんの朴訥だけれども抑えきれない気持ちがじんわりと出てくる朗読とこの影絵がとても強く観客の心に響いてくる。
そんな作品でした。
何より大事な友人が自分のために旅にでる。
失って初めて気づいた一番大切な友達。
ほんとうの友達に気づけた赤鬼くんはその後どう生きていくのでしょうか。
遠く離れてしまうことになったけれど、でも友達を失ったわけではなく、もっと強い友情を手にしたのだと思います。
節分でふと思い出しました。
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