語り絵本その22宮澤賢治原作「なめとこ山の熊」
「なめとこ山の熊のことなら面白い・・・・」
という書き出しで始まるなめとこ山の熊というお話は、熊撃ち猟師の淵沢小十郎と熊との不思議な交流のお話です。
このお話の中で宮澤賢治は、小十郎から熊の毛皮とキモを町の荒物屋に売りに行く場面では、「・・・二度とつらをみたくないような奴にうまくやられることを書いたのが実にしゃくにさわってたまらない。・・・」と書くのです。
とても優しいお話なのですが、宮澤賢治のどうしても書きたかった、どうしても言わずにおられなかった思いが、お話の底に静かに、でも実は激しく流れているように感じます。
賢治はいずれ時代が進めば社会は良い方へ変わっていくと書いていますが、残念ながら賢治の時代から人の有様は変わっていない、確かに生活の様式はすっかり変わってしまい、暮らし方も変わってしまっていますが、社会の構造は、偏見や差別や、そういったものはあまり変わっていないと感じます。
原作・宮澤賢治
語り・佐瀬佳明
作曲・演奏・宇野桃子
制作・劇団ぱれっと
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