宮澤賢治の「手紙四」を語り動画にしました。
語り絵本シリーズその25は、宮澤賢治作「手紙四」です。
「わたくしは、ある人から云いつけられて、この手紙を印刷してあなた方にお渡しします。」
という言葉ではじまるチュンセとポーセという兄妹のお話です。
このチュンセとポーセは、賢治とトシを思わせますし、ジョバンニとカンパネルラにも思えてきます。
お話の最後の方に、「ナムサダルマプフンダリカサスートラ」という言葉がでてきますが、
これは「法華経」のことです。
法華経で伝えていることは、人も他の生き物すべては繋がっている。
愚かで、時に罪も犯してしまうし。つまずいたり途方にくれながら生きている、
頼りなく、孤独な、どうしようもない存在が「人間」である。
しかし、そんなどうしようもない存在同士、出会いと別れを繰り返しながら繋がり合って生きている。決して孤立した存在ではなく、物哀しくもかけがえのない存在、それが「人間」というもの。
ということらしい。
この「手紙四」というのは、まるで宮沢賢治の生きた時間を垣間見るような気さえします。
こ手紙というのは、実は「銀河鉄道の夜」のことではないかとさえ思えてきました。
もちろん、この時にまだ「銀河鉄道の夜」は書かれていないのですが、「銀河鉄道の夜」という物語が存在していなくても、その物語で伝えたい言葉はもう存在していたのだと思うのです。
語り・絵 佐瀬佳明
音楽・岩佐裕子(劇団ぱれっと版「銀河津堂の夜」挿入曲から)
制作・劇団ぱれっと
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