語り絵本その12「夢十夜~第一夜~」

語り絵本その12は、夏目漱石の「夢十夜」から第一夜です。

「こんな夢を見た。」という書き出しで始まるこのお話は、1908年に新聞に連載されたものだそうです。

1908年。もう100年以上前に書かれたものなのです。

時間を超えて存在するお話です。

100年。

とても死ぬとは思えない横たわった女は、100年待っていてください。と言います。

100年経ったら逢いに来ます。と言うのです。

そうして女は亡くなり、「私」は、言われた通り土に埋めて、星のかけらを土の上において、そばに座って待つのです。

100年。

どれくらい待ったのか、もうわからなくなり、女に騙されたのかなと思うと、

土から茎が生まれ出てきて、蕾を作り、百合の花を咲かせます。

そうして、百合の花と私は、接吻をするのです。

そうして、100経っていたことに気付くのです。

100年。

夏目漱石がこのお話を書いてからもう100年以上経っています。

世界は、その頃とはとても変わってしまっているはずです。

でも、このお話はまるで昨日書かれたかのようにみずみずしい気がします。

この後のお話は、だんだん、当時の世相を想像していく必要があるように思いますが、この第一夜だけは、そのまま、今の通じている気がします。

社会とではなく、個と個の物語だからでしょうか。

人の心の普遍的なものは100年前も今も変わっていないのだと思うのです。


作・夏目漱石

語り・佐瀬佳明

画・Romi

作曲演奏・宇野桃子

制作・劇団ぱれっと

劇団ぱれっと

どんな空間でも素敵な劇場に。心に残る舞台をどこへでも!

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