深読み誤読
4月に入り暖かくなってきました。
ぱれっとにも、新しい仲間が増えてきて賑やかになってきました。
写真は宇野さんお手製の舞台模型を使って説明しているところ。
袖幕、一文字幕、プロセニアムアーチ、紗幕、大黒割幕、ホリゾント幕。
といった、公共のホールならまず普通に用意されている機構ですが、ぱれっとではこの劇場のベースを毎回作る作業をしているので、その説明からしています。
実は、こういった舞台の構造は、案外役者さんは知らないものです。
小劇場ばかりで芝居をしている人などは一文字幕と聞いてもピンと来なかったりします。
ぱれっとでは、仕込みでその作業をするかしないかは別として一応、役者にも知識を持ってもらわなければなりません。
旅公演は限られた人数で行動しなければならないので、全員の理解が必要なのです。
また、劇団はそれぞれ独自の方法を考え、進化させていくものです。
もちろんぱれっとにも当てはまります。
それでも、ぱれっと公演以外に舞台の仕事をすることで、ひとりよがりにならないよう、舞台の常識を持てるようにしています。
運のいいことに、都内での様々な演劇公演、バレエの公演、日本舞踊、モダン、ジャズ、といったパフォーマンス、コンサート(クラシック、オペラ、歌謡、演歌、エトセトラ)、ディナーショーといった舞台に、時に照明をプランからまたは、しこみばらし、ピンスポットなどの仕事、舞台監督、大道具などの仕事をする機会を得ています。
そのおかげで、舞台を考える目をある程度広く保っていられていると思っています。
説明の後は音楽。
様々な楽器に触れて、一緒に音楽をまずは楽しんでもらいながら、身体の感覚を解放していくことが目的です。もちろん、舞台で演奏するための稽古ですが、舞台でほんとに手にする楽器だけでなく、手に持ってもらいたいものを持ってもらいます。
そして本読み。
まずは回し読みから。
初見で読んだ感想を話してもらい、テーマを話し合っていきます。
勿論、旅公演の作品なので、もう何年も僕らは話し合って、意味を考え続けています。
それでも新しい人が来たら、その人から話し合いを始めます。
本の読み解きかたについても話ます。それぞれの経歴で、台本に対する向き合い方はそれぞれ方法が違ったりします。目的は一緒でもそこにたどり着くための道が違っていたりするのです。
演出意図を理解してもらうための言葉が誤解を生むこともあります。これがなかなか難しい作業なのです。
深読み誤読。これは僕の言葉ではありませんがなかなかいい言葉だと思っています。
役を面白く、深くしていくのにいい方法だと思っています。
深く読むということはその通りです。怒っているという表現があるとすれば、どんな怒りなのか?悲しい怒り、悔しい怒り、嬉しい怒り、衝動的な怒り・・・怒りひとつも様々です。
それに実はそれは嘘なのかもしれない。書くまでもないことですが、人はよく、表に見えることと中は違うことが多いものです。
それより誤読。正しいと思うことを違うと考えて台本を追いかけていく、すると、どこかで整合性がとれなくなり行き詰まります。
そうしていると、思い込んでいたり、見えていなかった心が見えてきたりします。
そんなわけで深読み誤読。
試行錯誤して、その人なりの役をつくり上げる。
答えはひとつと思わないようにする。
多様な方向に感覚を研ぎ澄ませることができていたいものです。
心も身体も。
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