照明の芝居心
稽古で照明について話しています。
照明や音響という仕事にはとても芝居心が大切です。
観客を芝居に引き込み、役者をサポートして観客の心により印象を深く見せるために、観客の心を集中してもらうためにとても有効な手段です。
ぱれっとではT15というもう最近では古い調光器を使っています。
これは丈夫だからということもありますが、その日その場、その瞬間を照明もライブでするために、より人の手、思いが直接伝わりやすいからでもあるのです。
フェーダーひとつ下げるにも様々な下げ方があります。
それぞれのシーンでどんな風にみせたいのか、どんなイメージを観客に与えたいのか?
条件は限られますが、人の心に響く表現は無限にあります。
だから照明オペレーターの芝居心がとても大事なのです。
話し合い、考え、段取り確認する。
そういった積み重ねの上で実際に稽古で試してみる。
地道な作業の上に舞台は成り立っています。
注文の多い料理店は人と自然とのかかわりの芝居です。状況に対応していくなかで勝手に妄想を膨らませていく二人の自称紳士。屁理屈としか思えない理屈で、どんどん危険な扉を開けていく二人。その愚かさは滑稽ですが、それは皆さんの中にも同じような心理が働いているかもしれないのです。
それのたいしてセロ弾きのゴーシュは心の中の葛藤が描かれています。
繰り返される日常。セロの練習。そこに現れる動物たち。
ゴーシュの心の動きが手に取るように観客の心に飛び込んでくるお芝居。
そのゴーシュの心も、自然と本当に向き合うことで、生きること、音楽をすること、
大地の中に、すべての生き物、動物たち、木々、星々、山や石ころまですべてものが生きていることを感じその中に自分もまた存在しているのだということをゴーシュは感じるのです。その幸せは音楽になるのです。
そんな表現のために、照明の芝居心、大切です。
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