語り絵本その10 中島敦作「山月記」
山月記というお話は、「人虎伝」というお話が元になっています。
人虎伝というのは、清朝の時代に、唐の時代の人物のことを書いた本だそうです。
この原作の中での李徴は、寡婦と付き合っているのですが、そのことを妨害する家族がいて、李徴はその家族を焼き殺してしまいその因果応報で虎になる。という話のようです。
中島敦の山月記の李徴は違います。
李徴の心の中にある臆病な心がいつしか李徴を虎に変えてしまうのです。
この李徴の心。
これは、誰の心の中にもあるのではないかと思われるものです。
それが、李徴の中ではひときわ大きかった・・・・・・
李徴は中島敦そのものだと思います。
言葉を超えて伝わってくるとても強いものがこの作品にはあります。
今も人がこの作品に惹かれるのはきっとその中島敦の心の深いところの叫びが、今も作品を通して読む人の心に迫ってくるからなのだと思うのです。
作・中島敦
語り・佐瀬佳明
画・Romi
作曲演奏・宇野桃子
制作・劇団ぱれっと
ろみさんの描いた画がとてもいいです。ぜひ画だけでも見てください。
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